確かな知識に基づいた丁寧で正確な作業、
見た目の美しさにこだわるセンスや責任感も大切です
手先を使う作業、細かい作業が好きな人
歯科技工士が扱うのは、人が生きていく上で欠かすことのできない「体の一部」となるもの。ほんの少しのズレでも、それが患者さんにとって違和感や不快感になったり、時には健康に害を及ぼすこともあります。
細かく丁寧な作業と、"コンマ何ミリ"の正確さが求められる仕事ですので、手先を使う作業が得意という方や、細工仕事が好きな方には、とても興味深い職業だといえます。
では「手先が器用でなくてはダメ」かというと、そんなことはありません。彫刻刀など様々な道具を使って細かな作業を行いますので、「カッターが使えない」「エンピツが削れない」といった基本的な作業ができないレベルだと、少なからずハンデにはなりますが、養成所等では一から知識や技術を学びますし、たくさんの練習も重ねますので、努力と経験の積み重ねでカバーできることがほとんどです。
歯科技工はアーティスティックな技術というより、医学的知識に基づいた正確な作業、一つひとつの細かな作業を丁寧に、確実に進めていく根気強さが求められる仕事ですので、器用かどうかというより、「細かい作業が嫌い」「コツコツやることができない」という人には、基本的に向かない仕事だといえます。
また、歯科技工士の仕事には必ず「納期」がありますので、「決められた納期までに確実に完成させる」という正確さや、責任感、スケジュール管理力も欠かせません。さらに近年は、審美歯科に対するニーズの高まりから「美しく見せる」技術もとても重要になっています。歯は人の顔の一部であるため、表情や顔の印象にも影響してきます。噛みあわせなどの機能性を追求することはもちろんですが、形や色を自然に美しく整えたり、患者さん一人ひとりに合わせた義歯をつくるための繊細な技術とセンス、「見た目」や「美しさ」へのこだわりも、これからの歯科技工士には欠かせない要素だといえるでしょう。
医療の一端を担う専門職として、確かな知識、技術を習得することはもちろん、歯科医師や歯科衛生士、周りのスタッフとのコミュニケーション力も大切です。また、新しい材料や機器なども日々研究、開発されており、保険の制度は更新、変更されることもあるため、最新の情報に関するアンテナや、常に新しいことを学び続ける姿勢が必要です。